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黒塚[くろづか]
悪鬼である老女岩手[いわて]が熊野の僧・祐慶[ゆうけい]ら一行を襲うが、 逆に法力で解脱させられるというストーリーになっています。
能の『黒塚』からとっているが、能以上に新しい解釈が加えられた演目です。その哲学的な命題を浮き彫りにした格調の高さが、 高い評価を得た演目でもあります。
上・中・下の構成となっています。
【上】
奥州の一面の平原の中にある老女いは、岩手の家には、かすかな灯がともっており、老女岩手は糸を繰っています。 ここへ諸国行脚の熊野の僧祐慶ら一行が宿を求め、その求めに応じた老女岩手は、
「繰るも輪廻の糸車にかかる姿の浅ましやな」
と糸繰り唄を聞かせ、救いを求めます
救われると知った老女岩手は、山に薪木をとりにいきます。
しかし、留守中に見ないでくれと頼んでおいた部屋を、強力[ごうりき]ののぞかれてしまいます。そのなかは、死骸の山だったのでした。
【中】
仏に救われると知った老女岩手は、その悦びから、月と戯れて踊っています。
そこへ逃げ出してきた強力とばったり出くわし、約束が破られたと知ります。
激怒した老女岩手は、鬼女の本性を顕して消えます。
【下】
茫原の別の場所で、鬼女は祐慶ら一行に襲い掛かりますが、法力に負けて、祈り伏せられて姿を消していきました。
この黒塚は、二代目市川猿之助が踊り、三代目市川猿之助が磨きをかけた演目で、 三代目市川猿之助の海外公演のレパートリーにまでなりました。演出のなかには、猿之助が海外で見たロシア・バレエにヒントを得たものもある、 といわれています。
■昭和十四年(1939)東京劇場初演
■作詞:木村富子
■作曲:四代目杵屋佐吉[きねやさきち]
■二代目市川猿之助(猿翁[えんおう])の「華果新曲十種」[かかしんきょくじゅっしゅ]のひとつ
■三代目市川猿之助の「猿翁十種」のひとつ
■上演時間:およそ60分
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