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手習子[てならいこ]

おませな町娘が、日傘をさして寺子屋帰りに、のどかな春の陽を浴びながら、蝶を追ったりして道草をする様子を表現した演目です。

着物の肩上げもまだとれないような少女が、恋についてはいっぱしの大人のように踊るさまは、 そのおませさが可愛らしさを引き立ててくれるようです。

「肩縫い上げのしどけなく」からクドキを踊りますが、恋心を踊る唄のなかには、

「ふつり悋気[りんき]」「言わず語らずわが心」など、『娘道成寺』から取り込んだ一節にのせて、鞠唄や手踊りが進んでいきます。 ここはさしずめ、『娘道成寺』のエッセンス・バージョンといった感じになっています。

ただ、あくまでも少女の踊りですから、おませさは表現しても、あくまでも初々しさが基本となっている明るい曲、といえます。

このあたりは、先人達の「娘道成寺を少女に躍らせたらどうなるだろうか」といったような興味半分につくられた、 とも言われていますので、ある意味では、パロディー的な楽しみ方もできる演目となっています。

最後は、「眺め尽きせぬ春景色」と、手習草紙を手に持ち、日傘をかたげて、可愛らしくきまります。

■寛政四年(1792)四月、江戸は河原崎座初演の『杜若七重の染衣』[かきつばたななえのそめぎぬ]という七変化のひとつが、 のちに独立して『手習子』となった。『杜若』は、初演した四代目岩井半四郎の俳名からとった。

■作詞:増山金八[ますやまきんぱち]

■作曲:初代杵屋正次郎[きねやしょうじろう]

■上演時間:およそ17分

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