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双面[ふたおもて]

双面とは、もともと歌舞伎のなかで、

「恨みを持ったものの霊魂が、そっくり同じ扮装で登場し祟ろうとする。そこで神仏の力によって、本性が見顕される。」

という種類の舞踊をさしていうものです。

今日では、中でも『双面水照月』[ふたおもてみずにてるつき]が、代表作ですので、単に双面[ふたおもて]という場合は、たいてい 『双面水照月』[ふたおもてみずにてるつき]をさして言います。

もとは、金にも女にも目がないという、悪徳かつ破廉恥で堕落した坊主である法界坊の芝居、『隅田川続俤』 [すみだがわごにちのおもかげ]の大切で、終幕にあたる曲です。日本舞踊では、これを独立させて上演します。また、今日の『双面水照月』 [ふたおもてみずにてるつき]については、明治三十九年(1906)一月の明治座上演で定まった、と言われています。

 

舞台は隅田川。永楽屋の娘『お組』に恋慕しながら殺された堕落坊主・法界坊の霊魂と、 松若丸への執念を残しながら法界坊に殺された野分姫の霊魂が、合体して、お組の姿となって、生きているお組の前に現れて・・・。

という、何とも複雑で、現代ドラマに劣らないドロドロとした展開を見せる舞踊です。

こういう設定で始まる舞踊ですから、法界坊は男性ですが、舞台に登場する際は、女形として登場します。演出の詳細は、 演出家などによっても異なるようですが、女形の姿で現れる法界坊の霊魂(野分姫の霊魂でもある。)は、 舞台上にいるお組と同じ姿で対峙することになります。ここで繰り広げられる、ふたりのお組の舞踊は、その他の演者も入り乱れて、 面白い展開です。

最後には、法界坊と野分姫の霊魂の合体であるお組は、観音菩薩の力で見顕しとなり、本性をあらわして、火焔模様の衣装に替わり幕、 となります。

このあたりの派手な演出も、この演目が長く支持され続けている理由のひとつなのかもしれません。

■天明四年(1784)、奈川七五三助[なかわしめすけ]作の芝居『隅田川続俤』[すみだがわごにちのおもかげ]の大切として上演。

■作詞:初代 河竹新七[かわたけしんしち]

■作曲:二代目岸澤式佐[きしざわしきさ]

■別名題:両顔月姿絵[ふたおもてつきのすがたえ]

■上演時間:およそ45分

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