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二人椀久[ににんわんきゅう]

大阪の豪商であった椀屋九兵衛[わんやきゅうべえ]は、馴染みを重ねた傾城の松山太夫に入れあげすぎてしまい、 座敷牢に軟禁されたことから発狂した、と言われています。

この日本舞踊では、狂乱した椀屋九兵衛[わんやきゅうべえ]が松山太夫との華やかかりし頃の幻影をみて踊りますが、 やがてはその幻も消え、ひとり舞台上に残され、泣き倒れ伏す、という内容のものです。

二人[ににん]とは、松山太夫が椀屋九兵衛[わんやきゅうべえ]の羽織を着て、椀屋九兵衛[わんやきゅうべえ]になって連れ舞する、 という意味合いを示しています。ですから、この演目では、舞台上に椀屋九兵衛[わんやきゅうべえ]と松山太夫の二人が登場し、舞い踊ります。

花道から登場する椀屋九兵衛[わんやきゅうべえ](以下、椀九)は、髪は乱れ杖をついて、「とかく恋路の濡れ衣」の詞とともに現れ、 舞台へ移動します。

松山太夫を思い焦がれて踊りながら、「暫しまどろむ手枕は」で、寝入っていきます。そうするうちに幻影として松山太夫が現れて、 ふたりの恋の華やかかりし頃を再現しながら、舞踊は華やかに進行していくのです。

しかし、幻影である松山太夫はいつか消え去り、最後は、ひとり舞台に残された椀九は、松風の音を聞きながら、寂しく泣き伏せて幕、 となります。

この演目には、異曲として、地唄『椀九』・清元『幻椀久』・長唄『一人椀久』などがあります。

【基礎データ】

■もともとの成立は、享保十九年(1734)江戸市村座で初演された『陸奥弓勢源氏』[みちのくゆんぜいげんじ]のなかで、 椀久の所作があります。

■単独としては、安永三年(1774)江戸市村座でリメイクとして演じられ、当時の演目名は『其面影二人椀久』 [そのおもかげににんわんきゅう]と言いました。

■作詞:不詳

■作曲:錦屋金蔵[にしきやきんぞう]

■上演時間:およそ30分

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