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保名[やすな]
安倍保名が、妻 榊の前[さかきのまえ]を亡くして、狂乱して嘆き、春の野辺をさまよう。
美男が狂乱して女性の幻を追う、という曲となっています。
紫色の病鉢巻をして、乱れた髪で登場する安倍保名は、恋人とも妻とも言われる女性「榊の前」を亡くして狂乱しています。
形見である小袖を持ち、榊の前の幻を追って、春の野辺で狂乱するさまは、観る者に、哀しさを迫るような日本舞踊曲となっています。
日本舞踊の数多くの曲の中でも、人気舞踊のひとつと言われています。六代目尾上菊五郎が新演出によって、 安倍保名ひとりが登場する舞踊としてからとくに、人気舞踊となったと言われています。
ひとりの美男が、狂乱して女性の幻を追う、というスタイルの礎を築いたのが、この新演出だ、とも言われているようです。
上演時間およそ23分という時間の中で、美しい男の哀しさ・切なさ・狂乱するほどの恋心を表現する、 とても難しい曲とも言われています。
■文政元年(1818)三月、江戸都座初演の変化舞踊『深山桜及兼樹振』を、明治期になって九代市川団十郎が復活。
■のちに六代目尾上菊五郎が新演出を加え、人気舞踊曲に。
■作詞:篠田金次・四代目鶴屋南北
■作曲:清沢万吉
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